小鴨コミュニティセンター

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地域情報

生田の管粥(倉吉市無形民俗文化財)

 本県における粥占いの行事は、現在なお伝承されているものとして、倉吉市生田と中山町逢坂の八幡神社で行われているものをあげることができる。
 粥占いは小正月の行事として、稲をはじめ一連の農作物の豊凶を神意によって占う農耕儀礼で、もとは全国的に広がりをもつ行事であった。昔は一村共同、又は一族の本家で試みられたが、時代の進歩とともに家々の結合が緩み、各家で行われるようになるとその結果がまちまちで、その価値が疑われるようになって急速に衰微したものと想定される。

 生田の管占いは、毎年旧暦1月14日午後7時頃から余戸谷町八幡神社のこもり堂で行われる。八幡神社はもと久米八幡あるいは生田八幡とも呼ばれ、生田の水谷家(元党首水谷忠正氏)の先祖水谷出羽守が宇佐八幡宮を勧請して祀ったと伝えられ、もともと生田とは深い関連があった。
 生田の管粥の起源・変遷などについては、詳しい記録がなく不明であるが、この行事が『本水谷家』を中心として行われている点などから、かなり古い形を残しているのではないか、とも創造される。

 現在では神社で侵食の手を煩わせて、祝詞やお祓いを受けるが、もとはこの水谷家を核として、総て農民の手で執行された。今は生田自治公民館と農事実行組合が行う。その中で、その運営の中心となるのが、公民館社会部であり、準備・広報など一切を取り仕切る。

 行事の手順は、先ず神前に平年なら米一升二合、閏年なら一升三合、竹管12本、酒一升がそれぞれ三宝に供えられる。この米は水谷家より捧げられる。ここで神官の祝詞・お祓いがあり、それぞれ参加者の玉串奉奠が行われる。このような儀礼が完了すると、神男を残し、神官を除く他の者はこもり堂にこもって神男の指図を待つ。神男は現在水谷好雄氏がこれに当たっている。
 この神男は、神と人間の世界を媒介する巫女の役を果たす者で、その線愛知は超俗的な人物をもってあてられる。この夜の行事は総てこの神男に乗り移るご神裁の結果をまって行われる。
 神男は先ず神前の円座に正座し、名目して神意の降りるのを伺う。お告げがあると下のこもり堂におり、参加者が薪に火をつけること、釜に水を入れることなどを、その都度命じてまた神社に戻る。この繰り返しが数時間、時には夜を徹して行われることがあり、すべて神の採決によって進行される。ただし米と竹管は神男が湯が煮え立った釜に自ら入れる。粥を煮るのに使用する薪は生田の各戸より持ち寄ったものであるが、もとは巳野蛮によって神社の木の枝を切り落としたものが使用された。

 釜は明治2年銘のものが今なお用いられている。竹管はこのあたりで『苦子竹』といわれる濃緑の細竹で節のないところを20センチメートル位に切り落としたものを使用する。これには予めそれぞれ1から9までの刻み目を鋸で入れ、最後の10本目は×印をもって示す。この刻み目は、1は早稲、2は中稲、5は綿、6は大豆、7は小豆、8は麦、9は粟をそれぞれ表し、10本目は大年と称して9つの農産物の平均高を表示する。現在では、これに『きゅうり(キ)』『トマト(ト)』の2本を追加し、計11種類の農作物の豊凶を占っている。

 ここ30年余りは、こうしてこもり堂の中で粥炊きが行われるようになったが、それ以前は境内の一部神楽殿に炉を切り、とまやむしろで囲いをして3人程度で厳粛に行われたもので、他の参集者はこもり堂で待機しながら一夜を過ごしたと伝えられる。

 釜を降ろすことによって当夜の行事は完了する。竹管を取り出して若干の粥と一緒に『田子』(水桶)に移して水谷家に運ぶ。以前は残った粥を釜に入れたまま賛同において帰ったが、15日の参賀者が付近の木の葉で粥を包んで持ち帰り神棚に供えていたもので、釜が空になるほどの盛況を呈した。現在ではこもり堂で参加者が食したあと、水桶とともに本水谷家に持ち帰っている。

 いよいよ15日朝8時頃から水谷家において管を割る行事が行われる。一種の心理的興奮を伴う一瞬である。この管を裂くのは神男の手による。まず竹管を水桶の粥の中から取り出し、大きなまな板の上に順がんに並べる。このまな板は長さ70〜80センチメートル、厚さ7センチメートル程度で、ぶあつい4本の足がついた頑丈なものである。これは別にこの行事専用管を割る包丁は普通の出刃包丁が用いられる。粥をかきまぜたり竹管を取り出すしゃもじは毎年新に購入するのが慣わしである。

 刻み目の順番に並べられた管を神男が一本一本なるべく端のほうに包丁を入れてゆく。全部割ったところで、最もよく詰まっているものを、大体8分とし、あとは「これを基準として参加者同士の話し合いによって決めて行く。この結果は版木で刷り上げた障子紙のお札に役員が、手分けしてそれぞれの産物の予想出来高を書き込む。この版木の管理、ならびにお札の作成は公民館社会部によって行われる。このお役を『キモイリ』といい、毎年輪番制によって当番が決められていた。お札を頂いた家では、昔は米を一握りとか若干の紙をお礼として差し出した。

 また粥は所望する家もあり、神棚に供えた後人も家畜も食して、その年の無病息災を祈念する。以前は近在はもちろん、遠く県外からも注文があり、かなり広域にわたって配布されたといわれる。またこの後18日に行われる長谷の観音さんの縁日には、昭和初期まで、1〜2銭程度で売りに出されたともいわれる。頂いたお札は神棚の見やすいところに張り付けて置く。現在お札の配布はすべて公民館社会部員が行っている。

 この呪術的行事は、最初述べたように、現今では全くその信憑性は薄らいでいる。しかし、生田の粥占いの場合、倉吉市農協(現JA鳥取中央)で現地調査した最近5ヶ年の農作物生産高の統計とおおよそ合致した、ともいわれ当時の人々はかなりの信頼を寄せている。

 また、この行事は倉吉市無形民俗文化財にも指定されている貴重な伝統文化である。

 <この資料は、生田自治公民館発行『生田の管粥』(平成15年1月)を引用させていただきました。>


(出典:『ふるさと小鴨ひろいがき』)

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