(鳥取県倉吉市)

 

ココはもともと,お餅屋さんだそうです。そこが,風の噂で「もちしゃぶ」を出しているということは聞いてみました。でも,「もちしゃぶ」て…。まぁ,アイデアとしては良いと思うけど,わざわざもちをしゃぶしゃぶしなくてもなぁ…,と思っていました。

が,しかし。ある日,人に誘われて入ると…すっかりファンになってしまいました。

まず,お店に入ります。とても雰囲気のいい昔ながらの日本の家。大正時代の町屋を改装したそうです。感じは,昔の造りなのですが,古びているわけではありません。新しく町屋を作ったという感じです。

これがとても新鮮。だって,日本風の家屋って,新しく造っても,どこか古びた感じを出そうとする傾向が多々あるじゃないですか。ココは違います。そんな古びたものを古く見せようとしているわざとらしさはかけらもありません。

昔ながらの日本の建物って,こんなにも落ち着くモンなんですね。とっても居心地が良いです。周りの空気も身体をくすぐっているようで,なんか自然と笑顔になってしまう,いい感じです。

ココに行ったら,ぜひ予約して2階で食べてみてください。私,この2階へ上がる階段の存在をすっかり気に入ってしまいました。なぜか…う〜ん口ではうまく説明できません。是非行ってみてください。

さて,くだんの「もちしゃぶ」です。

もちしゃぶの前に,「とちもちのあんかけ」がきます。これを味わいながら,一人一人のしゃぶしゃぶ鍋に火をつけて,おだしを温めます。

しゃぶしゃぶの具には,平たく,薄く切られた四角い持ちが4枚ずつ5種類と,

白菜,ねぎ,えのき,鶏の胸肉等の「これぞなべ!」といった具が並んでいます。

5種類のお餅とは,普通の餅,トチ餅,蓬,ゆず,ごま入り餅…だったと思います。

野菜をあらかじめ煮ながら,もちを軽くダシにくぐらせ,やわらかくなったところを食す食べ方です。

これが,私の想像を超えていました。結構,おいしいかも…。

お餅屋の餅ということもさることながら,このおつゆだし!私の好きなタイプ。

食べた後は思いっきり飲んでしまおうと食べているときから,決心させる,とてもおいしいおつゆだしです。

そして,お餅ですが,柚子入りと蓬が私のお気に入りでした。柚子は食したとたん,ふわーっと柚子の香りが口に広がり,そこに,おつゆのだしが溶け込んでいく…これは大人になってわかる幸せです。蓬は,蓬餅と同じ。そして同じくそこにおつゆのだしが…

もちしゃぶとは,風変わりな話題性を狙った姑息なメニューだと思っていた私は,本当に自分の味覚の乏しさが恥ずかしくなりました。これはいい。

そして,これが1000円で味わえ,結構おなかが膨れます。倉吉へお越しの観光客の皆様,お昼ご飯はここがお勧めです。倉吉ならではの白壁を楽しんだ後は,風情ある日本家屋でお餅を食べるなんて,これほど癒し系のお店は,無いですよ。

そして,ここは「もちしゃぶ」のメニューのほかにも洋風の定食も用意してます。

3歳の子供に,このもちしゃぶはつらかろうと,ハンバーグ定食を頼んだのですが,これまたおいしい。やわらかい煮込みハンバーグはそこら辺の洋食屋のレベルをはるかに越えてます。

もちろん子供はハンバーグ完食。ほかにも,トチ餅のあんかけや茶碗蒸もセットされているので,とても豪勢です。ただし,チト値段が高し。

観光客にも,地元の人にもお勧めの店,と私が思う店はそうはありませんよ。

鳥取県倉吉市堺町1丁目876
0858-22-4759