2008年度に行う社サッカークラブの組織改編にあたり,クラブとしての理念と長期ビジョンを明らかにするために,趣意書(案)を提示し,検討と理解を求めたいと思います..

2008年3月15日

 
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 社サッカークラブ 趣意書(案)

 

クラブの目的と趣旨の概要

 このクラブの目的は,サッカークラブの運営を通して,青少年の育成を図ることです.

 そして,この目的の実現に向けて,このクラブが取る主な方針は,次の2点です.
 そのひとつは,小地域(当クラブにおいては倉吉市社小学校区およびその近隣)を対象とすること.そしてもうひとつは,教養としての質を高めるためのシステム作り(家庭,ボランティア,地域など)です.

 以下は,これらについて解説していきます.
  

「遊びコミュニティ」の代替としてのスポーツクラブ

 つい半世紀ほど前には,自然発生的な「遊びコミュニティ」なるものがどこにもありました.路地や広場に,年齢の異なった子どもたちがどこからともなく集まり,遊んでいました.子どもたちはそこでの遊びを通じて,多くの技量を習得し伝授し,リーダーシップとメンバーシップも身につけていきました
 また,そのコミュニティは開放的であり,かつ,田畑や往来にはおとなの眼があり,いざとなれば介入し,指導し,保護する機能もありました.
 「遊びコミュニティ」は,子どもたちの育成に非常に大きな役割を担っていたといえます.

 しかし,近年,子どもたちを取り巻く環境は激変しています.自動車の普及と交通量の増加は,安全な遊び場を奪い,職住分離の傾向は,おとなの眼を子どもたちから分断しています.さらに,少子化が追い打ちをかけて,もはや「遊びコミュニティ」が自然発生的に実現し,子どもたちの育成に力を発することは期待できない状況だといえます.

 このような背景の中で,人為的かつ計画的に設計された「遊びコミュニティ」が,必然的に要求されてきているのだといえます.とりもなおさず,スポーツクラブもそのひとつの有効な形だと言えるでしょう.そして,スポーツクラブのひとつの大きな存在意義でもあるかと思います.
  

教養としてのクラブスポーツ

 一方で,経済や社会の高度化は,いやおうもなく,子どもたちにより高い知識や多様な教養の習得を要求するようになってきています.それは,学習塾や習い事の増加となって表れていますが,スポーツクラブも,少なからずその役割を担うべき存在と期待されています.このことは,皮肉にも「遊びコミュニティ」の解体に拍車をかけているのです.
 スポーツクラブは,従来の「遊びコミュニティ」の役割を踏襲するばかりでなく,現代が要求する教養(キャリア)教育という期待にも応えていく必要があると思います.
  

サッカーの有用性

 「サッカーは本当に素晴らしい競技だ.何故なら、子供を大人に、大人を紳士に育て上げる競技だからだ.」 これは日本サッカー育ての親ともいえるクラマー氏の有名な言葉ですが,サッカーが人間形成に与える高い有用性を表しています.
 サッカーは,競技である以前に,楽しい遊びとしての優れた魅力があり,それを利用して子どもたちの自主的な取り組みを引き出すことができます.これは「遊びコミュニティ」の補償のために,最も重要な条件です.また,ルールがシンプルであることから遊ぶための工夫域が多く,創造性や,社会的協調性も養われます.
 一方で,ゲームの中に勝敗がわかりやすく組み込まれていて,目的達成のための意欲と達成感,合理的な思考力,努力の必要性の理解も培われます.これらの成果は,人間形成に大いに役立ち,教養としての有用性を充分備えているものです.

 このクラブの基本的な趣旨は,サッカーを利用して子どもたちの育成を図ろうということです.
 したがって,勝つための努力は必要ですが,指導者にとってそれは手段であり,最優先の目的ではないということは,確認しておくべきことです.
  

家庭との共同

 子どもの成長において最も重要な場所が「家庭」であることに疑いはないでしょう.子どもにとって家庭がもっとも居心地のよい場所であり,家庭が生活のリズムの基本となっていることが,なによりも重要であり,それによって,子どもは自ら育っていく力を培っているといえます.
 学校,クラブ,塾,習い事,どれも家庭の代わりにはなり得ません.それらがどんなに有用であったとしても,それが家庭に過度の歪みを生じさせてしまうのであれば,子どもの成長に大きな障りとなってしまいます.子どもにはまず安心できる居場所が必要です.子どもはそこから外に向かって行くのです.家庭が不安定だと,子どもは混乱するばかりです.

 当クラブでは,家庭のはたす役割を重視し,家庭と共同して子どもの育成を図る道を指向します.家族の力を導き出す一方で,クラブの活動で家庭を阻害しないことにも努めていくことが重要だと考えます.
 そのための条件としてつぎのことを設定します.

(1) 家庭での夕食,団欒,睡眠の時間をなるべく侵食しない.
(2) 送迎などの負担で家族が疲弊しないようにする.
(3) 過度の活動で,家庭を圧迫しない.
(4) 過度の経済負担を避ける
(5) 以上を配慮する一方で,家族の最大限の協力を導き出す.
  

小地域型スポーツクラブ

 家庭との共同を図る上で,有力な方法として私たちが提案するのが,「小地域型」というスタイルです.
 ここで「小地域」とは子どもが自力で往き来できる(物理的な意味で)ような圏内−概ね小学校区をいいます.
 日常の生活圏内にクラブがあることで,送迎にまつわる家族への負担も軽減しますし,平日の放課後練習などは,早い時間で終了でき,これにより夕食や団欒,睡眠などの家庭の基本的な生活リズムが保全されやすくなります.

 「小地域型スポーツクラブ」という提案は,同時に,対象地域の拡張によるクラブ規模の拡大を,敢えてめざさないという提案でもあります.クラブの拡大より,理念の定着を優先する積極的な狙いがあります.
   

規模の限定と,教養としての質の確保の両立

 「小地域型」は規模が限定されます.そこで課題になるのは,教養としての質の確保です.
 そのクラブが家庭に優しいからといって,そこで得られる教養の質が低ければ,小地域クラブといえどもその期待に応えているとはいえません.地域にいながらにして,充実した文化的なサービスを享受できることこそ,真に豊かな社会の条件であり,それをめざしていくべきだと考えます.
  

ボランティアの組織化

 「規模の限定」と「教養としての質の確保」を両立させる上で,欠くことができないのがボランティアの活用です.また,限定されたボランティア資源を活用するための,仕組みづくりとマネジメントも必要になってきます.

 スポーツクラブの運営には,多様な仕事が関わってきます.サッカーの指導や,大会準備や,審判運営などサッカーに直接関わる事はもちろんですが,会場の確保や,施設の管理,財務管理,資材調達,スポンサー獲得,広報,連絡などなどその仕事は多岐に渡ります.したがって,多種多様の人材が必要であり, それらをまとめ上げる仕組みとマネジメントが必要になってくるわけです.
    

子どもを見守る地域社会

 規模が限定される中で,ボランティアを有効に汲み上げていくためには,やはり小地域型ならではの地域とのつながりを利用しなければなりません.
 子どもたちの保護者が,よその子どもたちの面倒も見る.また,活動を地域にオープンにすることで,地域の人材を引き出すこともできるでしょう.
 ひとの親であらずとも,おとなになれば子どもの育成に携わる...そんな意識が当たり前になることが理想ではないでしょうか?
  
  

附:社サッカークラブの歴史

1986年 社公民館少年スポーツ教室として全10回の期間限定教室を開催.
1987年 通年のサッカークラブを開始,鳥取県サッカー協会に加盟登録.
1988年 「社サッカークラブ保護者会」を設立し,クラブ運営の主体とする.この年をもって社サッカークラブの設立年としている.
1996年 少年サッカーチームの名称を「社チャブ」とする.
****年 「社サッカークラブ保護者会」を「社サッカークラブ育成会」に改称
2007年 「社サッカークラブ育成会」を「社チャブ育成会」に改称