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| Vol.21 放置プレー |
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厳しい残暑もなんとか終わってくれたようです。朝晩、(私は)寒いとまでいかないものの、なんとなくヒンヤリして気持ちのよい季節です。こうなれば、夜が待ち遠しい。何を肴に今晩は一杯やるかで心はうきうきしてきます。
今日は、あの酒を飲んでやろう…。
酒屋をやってますが、お酒はちゃんと買いますよ。お店のレジで自らバーコード読み取って、定価でね。でも、そのほとんどは、試飲用にしちゃいます。もちろん自分でちゃんと味見してから、お客様の試飲にまわすのですが、けっこう1本分で、長い時間あるんです。試飲してくださる(頭に浮かぶ)お客様を一巡するまでは、保管しておくのですが、それまでにまた次の新製品、または次の醸造年度のものが出たりします。全部なくなるまでに次の一本、また次の一本と開栓していきます。一ヶ月に一本も新入荷商品がないなんて、日本酒じゃ考えられないですからね。いつも20本強はあるのかな、試飲用のお酒が。
で、一巡するとようやく、私の自由になるわけです。そりゃ、たまには、味見してあんまり美味しくて、一晩で半分くらい飲んでしまうものだってありますけどね。
無罪放免(?)になったお酒は、開栓して日数が経っていますから殊更旨いです。若かったお酒はこなれてきて大人になり、やんちゃさが抜けない一応大人も落ち着きをかもし出してきます。ですが、これでもまだ物足りません。なぜなら、これらのお酒は、場所の問題もありセラー内(およそ12度から15度の温度です)で保管していますので、さらに常温にて鍛えなおしてやる必要があるのです。
より過酷な(と、思われているだけ)環境へ移してやることにより、お酒達はさらなる成長をみせてくれます。稀にもらい物のお酒で、脆く崩れ去るものもありますが、もらい物だから仕方ない。そんな時はさっさと、入浴剤にでもなってもらいます。
開栓後常温保管で、もっと旨くなるのですから過酷ではなく本当は天国のように心地よいのかも知れません。開栓後常温保管、これを業界用語(極一部の)で“放置プレー”と申します。この言葉が自由に操れるお方があなたの近くにいたとしたら、その人はかなりの達人ですよ。加えて、煮酒、燗冷ましの飲み方を見事に操っていたとしたら、片膝ついて師匠と呼びましょう。
さて、今夜も、心地よく過ごしたお酒をお燗して、今度はこちらが心地よくしてもらいましょうかね。
あ、肴だ、買い物に行ってないよ…夜のスーパーが今夜も俺を呼んでいるぜ。
*注意:最近出版された「世界一旨い日本酒」に書いてあることは、あまりに乱暴で、検証不足と思われます。また、私の書いていることは、そこからパクったものではなく、この本が出版されるずっと以前から言っていたことです。
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(2005/09/30) |
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| コラム : 「(有)山枡酒店」 倉吉市新陽町11−2 |
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