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お酒は二十歳になってから(山枡酒店)
Vol.5 「新酒鑑評会」
5月の上旬に平成15酒造年度全国新酒鑑評会が開かれた。45名の審査員(鑑定主任、各県の先生方、研究所主任、蔵元の構成)で1049点の審査(予審)が行なわれたようだ。私も民間の審査会などで、一回に200点以上はきき酒するが、3日間に渡って行われたといえ、この数は尋常ではない。
先日は、「素人きき酒大会」が開催されたがその点数はわずかに7点…。比べものにはならない。1回目と2回目をあわせても14点にしかならない。しかも、それは「同じものはどぉ〜れだ?」というもので、審査とは自ずと目的が違う。これはあくまで「素人」という修飾詞がついた「きき酒」で本当の「きき酒」とは非なるものである。

話がそれた…。これまで、新酒鑑評会といえば、「香りプンプン」の酒が高得点を得て味わいとのバランスの良し悪しはともすれば無視されがちであった。従って、飲んで旨いということには全くかけ離れたものが多かった。
ところが、今年は「香りが高いだけのものは良質とは言わない。吟醸らしい風格とバランスのとれた、百年先の吟醸酒のあるべき姿を思い審査にあたって欲しい。」と所長の言葉に裏付けられるように、香気成分(カプロン酸エチル濃度)がグループ化され、香気成分量による不利益をなくすようにグループ化されたようだ。つまり、香りが低い中に香りの高いものが突然現れることにより、その刺激で「素晴らしい」と錯覚してしまうことを、なくすようにしたものである。ただし、これは審査の方法が変化したのであって、蔵元から出品されるものの傾向まで変化していくことは来年以降を待たねばなるまいが。
私はずっと前から言い続けていた。「酒は香水ではない」と。そして全国新酒鑑評会などクソ喰らえと。なぜなら、最高峰の吟醸酒をつくりだしてきて、その定義が正しかったのなら日本酒の低迷などありえなかった事だからだ。つまり間違った判断基準の上に日本酒を造り続けていたから、消費者に受け入れられなかったのである。
今年の審査方法でも、本当のところ、私は不満である。なぜなら、基準が明確でないし、加えて、あらたな「吟醸酒」というものの観念が示されていないからである。

お酒は、審査でへたることを気にしてアルコール添加するようなことではダメなのである。また、吐き出して楽しむものでもない。(・・・さすがにどんな酒豪でも1049点も飲み込めば審査どころではなかろうが。) だが、でき得ることなら数週間かけてでも、宴席を設けて食べながら飲んで、お燗もつけて、一番消費量が多かったお酒で勝負して欲しい。美味しいから飲む。たくさん飲む。飲み手は幸せ。そしてたくさん消費されれば売り手も幸せ。造る人も幸せ。ひいては米農家も幸せ。流通業者も幸せ。税金がたくさん入るから国も潤う。国が潤えば国民も幸せ。
言っておくが、安酒では鬱憤が溜まるから大量に飲む。飲んでも飲んでも満足いかないから、飲みすぎる。家族には嫌われる。病気になる。生産性は皆無に近くなる。医療保険がかかるから国家も損失。とても飲む量で得られる税金では追いつかない。国は労働者と、税金の両方を失う。当然、国民は不幸になる。まずい酒を造り売ることは亡国の危機だ。
(2004/5/21)
コラム :  「(有)山枡酒店」 倉吉市新陽町11−2
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