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お酒は二十歳になってから(山枡酒店)
Vol.3 「酸度」のおはなし
入進学、卒業、就職、人事異動…。桜の季節は人がうごめく季節ですね。良いことか悪いことか、最近では花見の酔っ払いを見かけることが少なくなってしまいました。これは、推測ですが、農業にかかわる人が少なくなってきたこともその一因なのでしょう。寒い冬の間はできなかった農作業を開始しなければならないことを告げる桜の花に歓びと苦しみが入り混じった気持ちで花見をしていたのではないかと思うのです。自然と共に生きる人達が季節の変化を肌で感じるのが花見、つまり野外での宴会なのです。

さて、今回は甘い辛いから次に進んで、説明の困難な「酸」についてお話しなければならないでしょう。

前に話した、日本酒度だけで「甘さ辛さ」を語る酒屋さんより、すこしマシ(マシというだけで、味見しなければ同じ穴の狢だが)なのが、酸度を考慮に入れて判断する酒屋さん。これも、お酒の裏貼りに書いてある数値なのだが、おおよその目安として「同じ日本酒度ならば酸度が高い方が辛く感じる」というものだ。間違いではない・・・。

多くの人は「酸」と聞くと「すっぱい」を連想するだろう。しかし、裏貼りに表してある酸度は色々な酸の総酸値なのだ。お酒に含まれる酸は「リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸etc...」色々ある。それぞれの酸にそれぞれの味わいがあり、どの酸が多いかによって酒の味わいには変化をもたらす。

だから、酸度を見ただけで判断できるほど簡単じゃないのだ。あくまで、全体のバランスの中で判断しなければ答えなど出ない。よく見かけるのが酸度「1.4〜1.9」位の範囲だが、たとえそれが「2.0〜3.*」あっても、それだけで辛いとかすっぱいなんてことは判断できないのだ。(どの酸を特徴的に多くつくるかは使用酵母によっても変わってくるのだが、この話は更に長くなりそうなのでまたの機会に)

味をみて、バランスがよければ酸度の数値がどうであれ評価に値するものなのだ。むしろ、味が良ければ、酸度が高いものは酒自体の強さ、つまり、保存や飲酒温度などの外部環境に対する強さを物語っているものである。

努々知ったかぶりをして、「う〜ん、これは日本酒度が+5、酸度が2.3もあるから辛くて飲めたもんじゃないぞ」なんて、裏貼りだけを見て酒を語ること無かれ・・・。

余談だが、このお酒、長いこと放って置いたし、どうせ花見で酔っ払うだけなんだから、「酢になっているかも知れないけど、これ持って行っちゃえ」なんて言葉を聞いたことないだろうか?言っておくが日本酒は何も外部から手が加わらなければ酢になるなんてことはない。有機酸として酢酸は含まれるが、決して酢になることはない。
(2004/3/28)
コラム :  「(有)山枡酒店」 倉吉市新陽町11−2
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