| しゃべらない・表情の乏しい子が増えている 2004.3.7 |
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最近、テレビ・ビデオ・ゲームについての弊害が叫ばれている。 それにも関わらず、テレビ育児・ゲーム遊びが減っていく傾向はいっこうに見えてこない。 『しゃべらない子どもたち 笑わない子どもたち 遊べない子どもたち』の中の「まえがき」から、著者の危惧するところを紹介したいと思って書くことにした。 この子、言葉が少なすぎるかも……、言葉が遅いかも……、大丈夫だろうか。 声をかけても振り向かない。聴こえが悪いのかな。それとも何か特別な……。 そんな不安を感じたことはありませんか? あるいは医師から「言葉が遅いかな。表情や反応が少ないかも。もう少し様子をみて、必要なら検査を受けましょう」といった示唆をされたことはありませんか。 子どもの発達に「こうだ」と断言できる基準はありません。言葉の出ぐあい一つとっても、「おおよそ、多くの子が、この年齢期にはこの程度に発達しているでしょう」という大まかな目安はありますが、そんな目安からはずれてゆっくり発達する子もいれば、逆に早く発達する子もいます。 したがって心配しすぎるのは損なだけ。よく食べて、お腹の調子もよくて、機嫌よさそうに活発に動いていて、適度に泣いたり笑ったりしているなら、まず大丈夫。もしもお母さんが先回りの心配をしすぎると、その心配が母子ともどもへのストレスとなって、子どもの成長やお母さんの心に傷を残す結果になってしまうかもしれません。 だから原則としては、安心してゆったり構えて過ごすのが何より大事。ゆっくり発達していった子が大天才だったという実例は、大物理学者アルバート・アインシュタインをはじめとし、たくさんあります。反対に、幼児期には神童だ天才だと騒がれたのにいつしか凡人にという実例も、あっちにもこっちにも見つけられそうです。 ただし気をつけてください。近年では、育て方・育てる環境のせいで「後天的な言葉遅れ」になってしまう子が増えています。 テレビシッターとかビデオシッターといういい方を耳にしたことはありませんか。 テレビやビデオに子守させることです。 忙しさにかまけて、一日の大半、テレビやビデオをみせつづけてしまうお母さんがいます。そんな育てられ方が原因となって言葉遅れになってしまったり、ときにはまったく言葉の出ない無表情な子どもになってしまう例が増えています。 もしもあなたのお子さんがテレビやビデオをみすぎているなら、気をつけてください。テレビやビデオをみすぎている子で、どうも言葉遅れや表情の乏しさが気になるというのなら、テレビやビデオをみせないようにするのが最低限の対策です。テレビ・ビデオなしで、お母さんがたっぷり語りかけ遊んであげれば、言葉も表情も豊かになります。対応が早くて適切なら、それだけ確実に速やかに回復するのが通例です。 次の点にも気をつけておきましょう。 テレビやビデオをずいぶんみているけれど、言葉遅れの様子もない、表情も普通、特に問題はなく育っている。そのようにみえてもコミュニケーション能力の未熟が潜在している危険があります。 その場合には、小学校に入ったころにADHD(注意欠陥/多動性障害)やLD(学習障害)に似た状態が現れるかもしれません。あるいは思春期ごろになって、不登校・引きこもり・神経症・非行などのかたちで問題化するかもしれません。もっと年齢がいってから、社会的不適応として問題化するかもしれません。 テレビ・ビデオのみすぎの裏には、間違いなく親子のコミュニケーション不足が横たわっています。 乳幼児期の母子間コミュニケーションが不足すれば、子どもの言葉や表情が乏しくなる。本書に詳述するとおり、これはきわめてわかりやすい当然の成り行きです。 親子間のコミュニケーションが不足がちな中で育つ子ども、またはゆがんだコミュニケーションの中で育つ子どもは、いずれどこかで不登校・引きこもり・神経症・非行などのかたちで“発達障害”を表面化させる。これもきわめて当然の成り行きです。 アメリカ小児科学会は「2歳までの子どもにテレビをみせてはならない」と警告しました。 テレビが赤ちゃんの日常から「人間的で濃密なコミュニケーション体験」を奪ってしまうからです。テレビやビデオが赤ちゃんの精神・心の発達に悪影響を与える背後では、赤ちゃんが人間へと発達する上で必要不可欠であるはずの「親子のコミュニケーション」が失われているのです。 言葉は人間という生き物を象徴する能力です。言葉が象徴する高度なコミュニケーション能力こそが、人間のもっとも人間らしい能力だといってもよいでしょう。 この「もっとも人間らしい能力」を育むのは、あまりにも当然のことながら「人間的な行き交い」にほかなりません。 赤ちゃんを人間に育てられるのは人間だけ。 本書の内容は右の一行に集約できます。 あなたのお子さんは、あなたとの豊かな行き交いを重ねるほどに、より豊かな人間的能力が育まれる。 その事実を、どうか深く、しっかりと受け止めていただきたいと切願します。 2003年10月 『しゃべらない子どもたち 笑わない子どもたち 遊べない子どもたち』(メタモル出版03.12) 片岡直樹/山崎雅保 共著 より抜粋・引用 |
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